結論:見積もりは「工程・上限・追加条件」の3段で作る
金額だけを提示せず、基本料金へ含む工程、生成・修正の上限、条件変更時の追加費用を分けます。AIを使ったから安くするのではなく、必要な確認と納品品質を満たす原価から逆算します。
検索で見かける「料金相場」を、そのまま使いにくい理由
AI動画制作は、同じ15秒でも条件が大きく異なります。商品だけを生成するのか、実在人物を扱うのか。1カットでよいのか、複数カットの一貫性が必要か。字幕・音声・広告表示・素材確認まで担当するのかで、作業時間が変わります。
- 生成だけか、企画・編集・音・字幕・納品まで含むか
- 必要な採用カット数と、1カットを採用するまでの生成回数
- 人物・商品・ロゴ・支給素材の確認が必要か
- 通常修正と追加生成を何回含むか
- 掲載媒体、解像度、縦横展開、元データ納品の有無
このページの立場
特定会社の価格や一律の相場ではなく、自分の案件条件と作業記録から「赤字にならない内部基準」を作る方法を扱います。
見積もりへ入れる7つの原価
| 原価 | 含める内容 | 記録する数字 |
|---|---|---|
| 企画 | 目的、視聴者、掲載先、構成 | 作業時間 |
| 素材確認 | 人物、商品、ロゴ、音源、AI入力許可 | 素材数・確認時間 |
| 生成 | テスト、不採用、追加クレジット | 回数・費用 |
| 採否確認 | 破綻、事実、一貫性、保存 | 1回の確認時間 |
| 編集 | 尺、字幕、音、色、書き出し | 編集時間 |
| 修正 | 通常修正、再生成、方向転換 | 回数・時間・追加費 |
| 納品 | 最終確認、ファイル整理、保管 | 作業時間・保管期限 |
基本の計算式
案件原価
生成ツール費 + 素材・外注費 +(企画・確認・生成・編集・修正・納品の時間 × 必要時給)
見積価格
案件原価 + 予備費 + 利益。最後に税、決済手数料、契約条件など自分の事業条件を反映します。
生成ツール費は「月額料金÷月間に実際に使える生成回数×今回の生成回数」で考えます。無料枠でも、人が指示を作り、結果を確認し、保存・編集する時間は0円ではありません。
15秒・3カット動画の計算例
以下は相場ではなく、計算方法を確認するための例です。実際の料金・生成回数・作業時間へ置き換えてください。
| 条件 | 例 | 計算 |
|---|---|---|
| 生成ツール費 | 1回30円×12回 | 360円 |
| 採否確認 | 3分×12回 | 36分 |
| 仕上げ編集 | 字幕・音・色・書き出し | 30分 |
| 時間原価 | 合計66分×時給2,500円 | 2,750円 |
| 制作原価 | 生成360円+時間2,750円 | 3,110円 |
ここへヒアリング、素材確認、クライアント連絡、通常修正、予備費、その他経費を加えます。最初の案件では実績がないため、テスト生成の結果を記録し、次回の見積もりで採用率と時間を更新します。
修正は3種類に分けて見積もる
| 区分 | 例 | 見積もりへの書き方 |
|---|---|---|
| 通常修正 | 誤字、音量、軽い尺、色、配置 | 基本料金に○回まで含む |
| 追加生成 | 人物、商品、動作、背景、構図の作り直し | ○回または○カットまで。超過は追加 |
| 方向転換 | 承認後に目的・対象・構成・参考方向を変更 | 再見積もり |
「修正2回まで」とだけ書くと、字幕修正と動画の作り直しが同じ1回に見えます。既存素材で直せる範囲と、新しい生成が必要な範囲を明記します。
3つの見積もり方式
1. 本数固定
15秒×1本など、完成物を基準にする方式です。含むカット数、生成上限、通常修正、納品形式をセットで書きます。条件が安定した案件に向きます。
2. カット固定
採用カット数を基準にする方式です。1カットあたりの生成上限と追加単価を決めやすく、AI生成部分の範囲が明確になります。
3. テスト+本制作
最初に難しい1カットを小さく試し、採用率・時間・費用を確認してから本制作を見積もります。人物や商品を一貫させる案件、未経験のツールを使う案件に向きます。
見積書に入れる12項目
- 目的・掲載媒体
- 尺・本数・縦横比
- 企画・構成の範囲
- 支給素材と確認範囲
- AIを使う工程
- 採用カット数
- テスト・生成回数の上限
- 編集・字幕・音の範囲
- 通常修正の回数
- 追加生成と方向転換の条件
- 納品形式・初稿日・確認期限
- 保管・削除・元データの扱い
原価が合わないときに削る順番
価格だけを下げる前に、作業条件を小さくします。
- カット数を減らす
- 人物数・商品数・場所を減らす
- 1カット1動作にする
- 正確な文字は生成せず編集で載せる
- 縦横展開や元データ納品を分ける
- テスト生成後に本制作を見積もる
ツール選びは、安さより採用率と工程で比較する
生成ツールだけでなく、長尺からの切り抜き、音声、字幕、仕上げ編集まで含めて、どの工程を任せるかで選びます。月額料金が安くても、採用率が低く確認時間が増えると原価は上がります。
よくある質問
AI動画制作はいくらで見積もればよいですか?
一律の相場だけでは決めず、企画・素材確認・生成費・採否確認・編集・修正・納品の原価を案件条件から計算します。実績がない場合は、小さいテスト生成を行ってから本見積もりを出します。
AIの再生成は無料修正に含めますか?
字幕や音量など既存素材で直せる通常編集と、人物・商品・動作・構図を作り直す追加生成を分けます。無料範囲へ含める場合も回数上限を明記します。
無料のAIツールなら生成費は0円ですか?
ツール料金が0円でも、指示作成、結果確認、採否判断、保存、編集の作業時間は原価です。
この計算で利益は保証されますか?
保証されません。入力した条件から内部基準を作る方法です。税務、契約、素材の権利、サービス規約、品質、納期、返金などは個別に確認してください。